施工例
黒系御影石の「繰り返し発生するシミ」を解決。ウェットコートで汚れを未然に防ぐ方法
御影石バーナー仕上げにおけるウェットコート処理:防汚対策と意匠維持の共立
1. はじめに:御影石バーナー仕上げの特性と課題
石材メンテナンスにおいて、黒系の御影石バーナー仕上げは、その重厚感ある質感から多くの建築物で採用されています。しかし、メンテナンスの観点からは非常に繊細な管理が求められる素材でもあります。
バーナー仕上げ(石の表面を高温で焼き飛ばし、凹凸を出す工法=滑りにくい)を施された御影石は、本来の色味よりも白っぽく、グレーがかったドライな質感に見えるのが特徴です。しかし、この凹凸があることで石材の表面積が増え、水分や油分を吸収しやすくなっています。特に「水に濡れると真っ黒に色が変わる」という物理的特性を持っており、これが日常生活において「シミ」が目立ちやすい原因となっています。
2. 現状分析:繰り返し発生するシミ汚染
今回の施工現場は、一般住宅の屋内階段および床面です。こちらの施主様宅では、以前より食べ物や飲み物をこぼしたことによるシミ汚れに悩まされてきました。
黒系の御影石バーナー仕上げにコーヒーや油分を含んだ食べ物が付着すると、その部分だけが「濡れ色」となり、周囲のグレーとのコントラストで非常に濃い黒色のシミとして残ります。一度石目の深部まで浸透した汚れは、通常の清掃では除去できず、専門的なシミ抜き作業(化学的分解と湿布工法)が必要となります。
実際、こちらの現場では今回が2度目のシミ抜き依頼となりました。繰り返される汚染に対し、表面的な洗浄だけでは根本的な解決に至らないため、石材の意匠性を変えることを含めた「予防保全」の提案を行いました。
3. 解決策としての「ウェットコート処理」
シミ抜きを終えた後、今後の汚れ防止策として採用されたのが「ウェットコート処理」です。これは、石材の表面および内部に特殊な浸透性保護剤を塗布し、恒久的に「濡れたような深い黒色」を維持させる工法です。
① 防汚メカニズム ウェットコート剤は石材の細孔に深く浸透し、撥水・撥油層を形成します。これにより、食べ物などの液体がこぼれても石材内部への浸透を遮断し、表面で弾き返す効果が得られます。万が一汚染物質が付着しても、容易に拭き取ることが可能となります。
② 意匠的なメリット:シミの不可視化 ウェットコートの最大の特徴は、石材の色調を「濡れ色(濃い黒色)」で固定できる点にあります。施工前のグレーの状態から、漆黒の状態へと変化します。 あらかじめ全体を「濡れ色」に仕上げておくことで、今後もし水分や食べ物が付着しても、周囲の色調との差が出にくくなります。つまり、物理的な防汚効果に加え、視覚的にも「シミを目立たせない」という二重の対策となります。
4. 施工プロセスの詳細
今回の施工は、以下の手順で厳密に実施されました。
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徹底した下地処理(シミ抜き・洗浄): まずは蓄積した汚れや前回のシミを完全に除去します。保護剤を塗布した後に汚れが残っていると、その汚れごと閉じ込めてしまうため、この工程が最も重要です。
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乾燥: 石材内部に水分が残った状態でコート剤を塗布すると、コートが白濁化してしまい、また、密着不良の原因となります。バーナー仕上げの凹凸の奥まで十分に乾燥させます。
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養生: 石材の周囲(木製の巾木や床材)にコート剤が付着しないよう、マスキングテープを用いて厳重に養生を行います。
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ウェットコート剤の塗布: 専用の塗布具を使用し、ムラが出ないよう均一に浸透させていきます。特にバーナー仕上げは吸い込みにムラが出やすいため、職人の手によって吸い込み加減を確認しながら調整します。
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拭き上げ・定着: 過剰な余剰成分を拭き取り、均一な濡れ色かつツヤ消しになっていることを確認して完了となります。
5. 施工結果と考察
施工後の写真を比較すると、階段および床面の質感が一変したことが分かります。グレーだった石材が、高級感のある深い黒色へと生まれ変わりました。
このウェットコート処理は、単なる見た目の変更ではありません。施主様のように「日常生活でどうしても汚染のリスクを避けられない」環境において、メンテナンスの負担を大幅に軽減する合理的な選択です。「現状のグレーの色味を維持したい」という要望がない場合には、このように石材の物理的特性を逆手に取った対策が非常に有効です。
6. まとめ
石材メンテナンスにおいては、汚れを落とす「対症療法」だけでなく、その後の生活環境に合わせた「原因療法」を検討することが重要です。
黒系御影石バーナー仕上げにおけるウェットコート処理は、石材の持つ「濡れ色になると黒くなる」という性質をあらかじめ意匠として取り込むことで、汚れへの不安を解消する手法です。石材の種類、設置場所、そして施主様のライフスタイルという複数の客観的事実に基づき、最適なメンテナンス方針を選択することが、石材を末永く美しく保つための鍵となります。
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